写真集『ANOther』が単なるタレントグッズにとどまらず、コレクターズアイテムとして高く評価される理由は、写真集としての圧倒的な作品性の高さにあります。本作は2部構成となっており、撮影を担当した写真家は川島小鳥氏と佐野円香氏の2人。それぞれ異なるアプローチで彼女の内面を浮き彫りにしています。
川島小鳥氏が担当したパートの舞台は、冬の新潟県・佐渡島。降りしきる雪の中、着飾らない等身大の彼女が無邪気な表情を見せるカットや、静謐な日本海の波打ち際に佇む姿がフィルム特有の柔らかな階調で切り取られています。一方、佐野円香氏が手掛けたパートは都内のアパートメントを舞台に展開され、朝の光が差し込むプライベートな空間で撮影が行われました。ファンの間で当時大きな反響を呼んだ部屋着姿や繊細な水着カットは、商業的な露出感を排した極めて自然で透明感のある描写となっており、公の場では滅多に見せない無防備な感情が刻まれています。
当時のインタビューにおいて、本人は「無理に笑うことや、誰かが求めるアイドル像を演じることをやめたかった」と述懐しています。作為的なポージングを徹底して削ぎ落とし、痛みや孤独を抱えたままレンズと向き合った記録だからこそ、数年を経た現在も見る者に強い引力を及ぼし続けています。また、初回流通時に一部書店で配布された限定特典ポストカードは絵柄違いで複数種存在し、これらもコンプリートを狙うファンの間で高値取引の要因となっています。