戦後、彼は二科会の再建に尽力し、やがてそのドンとして君臨する。権力闘争の只中にありながら、画家の筆は驚くべき純化を遂げていった。装飾性と大衆性を高度に両立させた、いわゆる「青児スタイル」の確立である。
代表作として名高い『望郷』や『美しき人』に見られる、無駄を極限まで削ぎ落としたフォルムと、グレースケールを巧みに操るパステルトーンの色彩。女性像の瞳はどこか焦点を結ばず、現実の生身の人間というよりも、触れることのできない幻影のような浮遊感を漂わせる。誰もが親しめるポスターや菓子箱のパッケージを飾りながら、同時に観る者の無意識に潜むメランコリーを抉り出す二面性こそ、彼の真骨頂であった。