なぜ牛乳を飲むだけで、これほど見事な血糖値の抑制効果が得られるのでしょうか。その中核を担っているのが、牛乳に含まれるタンパク質の一種「ホエイプロテイン(乳清タンパク質)」と、小腸から分泌される消化管ホルモン「インクレチン(特にGLP-1)」の相乗効果です。
食前に牛乳を摂取すると、ホエイプロテインが胃の出口(幽門)の動きを適度に緩やかにし、後から入ってくる炭水化物が小腸へ送られるスピードを遅らせます。さらに重要なのが、小腸上皮の細胞を刺激してインクレチンの分泌を強力に促進する働きです。
インクレチンは、血糖値が高くなったときにのみ膵臓からのインスリン分泌を促す極めて優秀なホルモンです。これにより、糖が血液中に吸収され始めるベストなタイミングでインスリンが分泌され、血管を傷つける血糖値スパイクを未然にブロックしてくれます。単にお腹に膜を張る物理的な防御だけでなく、ホルモンレベルで代謝をコントロールする生理的なスイッチが入る点が、牛乳の最大の強みです。