平成のテレビ史を語る上で、稀代の脚本家たちの存在を外すことはできない。瑞々しい台詞回しと人間の機微をすくい取る描写で『東京ラブストーリー』を大ヒットへと導いた坂元裕二は、その後も独自の観察眼を磨き続け、現代に至るまで名作を紡ぎ続けている。登場人物の会話のズレや日常の些細な仕草から切なさを浮かび上がらせる会話劇の源流は、すでにこの時代に確立されていた。
一方で、タブーを恐れず人間の業や社会の暗部に鋭くメスを入れたのが野島伸司だ。『高校教師』『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』『未成年』に代表される作品群は、社会的疎外やいじめといった過激なテーマを扱い、視聴者に強烈なトラウマと倫理的問いを突きつけた。コンプライアンスが厳格化した現代では制作困難とされるギリギリの表現力と純文学的な脚本美は、今なお観る者の胸を抉り続ける。