この演出のルーツを辿ると、日本のテレビ史、特にNHKの大河ドラマに行き着く。戦国時代や幕末など、登場人物が多岐にわたり、すべての死を詳細に描くことが物理的に不可能なジャンルにおいて、ナレーションによる処理は不可避の選択だった。三谷幸喜脚本の作品などでこの手法が効果的に使われ、ネットスラングとして「ナレ死」という言葉が定着した経緯がある。
それが今や、単なる時間短縮の手段を超え、キャラクターの格や物語のテーマ性を高めるための「特権的な演出」へと昇華した。劇的な死に様を描かないこと自体が、そのキャラクターへの敬意や、無常観を表現する手段となっているのだ。