ステフィン・カリーの凄さを語る上で欠かせないのは、従来の「ゴールに近いほどシュート成功率が高い」というバスケットボールの常識を破壊した点にあります。ディフェンスが間合いを詰める前のロゴ付近からでも躊躇なく放たれるディープスリーは、相手チームの守備スキームを物理的かつ心理的に崩壊させました。
しかし、本質的な凄さはシュートタッチの精度だけに留まりません。現役スカウティング関係者やコーチ陣が一様に指摘するのは、「ボールを持たない時間(オフ・ザ・ボール)の圧倒的な走行距離とプレッシャー」です。スクリーンを連続して使いながらコート上を縦横無尽に走り回る持久力こそが、マークマンを疲弊させ、味方へのフリースペースを創出し続けています。
公式会見や過去のドキュメンタリーにおいて、カリー自身は「人々はハイライトのリリースの早さばかりを見るが、本当にきついのはシュートを打つ前の5秒間のフットワークと息の乱れをコントロールする呼吸法だ」と語っています。華やかなハイライトの裏には、極めて泥臭い反復練習とコンディショニングが存在しています。