日本大学国際関係学部キャンパスがある静岡の地で、一人の韋駄天が覚醒を遂げた。石川蒼。170センチ、70キロ。アスリートとしては特段恵まれた体躯ではない。しかし、彼がバッターボックスに入り、あるいは塁上に立つと、グラウンド全体の緊張感が一気に跳ね上がる。
彼の真骨頂は、卓越した打撃センスとスピードの完全なる融合にある。単に足が速いだけの選手なら山ほどいる。だが、石川は自らの足を得点に結びつける術を熟知している。2025年シーズンにたたき出した12試合で18盗塁という数字は、相手バッテリーの警戒をことごとく無力化してきた証拠だ。
グラウンドを広く使う中堅手への転換も、彼の価値を飛躍的に高めた。俊足を生かした守備範囲の広さは圧巻で、左中間や右中間を襲うヒット性の打球を幾度となく空中補給してきた。打ち、走り、守る。三拍子揃った現代型のトップバッターとして、いま最もスカウトの視線を集める存在だ。