成城学園前駅の改札を出て北口側の路地へ足を踏み入れると、どこか懐かしくも活気あふれる空間が広がっています。「炭火焼鳥まさや」は、兵庫県西宮市の苦楽園で産声を上げ、関西の舌の肥えた阪神間モダニズム圏で鍛え上げられた焼鳥ブランドです。東京進出において彼らが選んだ拠点の一つが、同じく閑静な高級住宅街として知られる「成城」の地でした。
飲食関係者の間では当初、「アッパー層が多い成城で大衆的な焼鳥店が根付くのか」と疑問視する声もありました。しかし蓋を開けてみれば、オープン以来瞬く間に地域屈指の繁盛店へと成長。その背景には、成城という街特有の「ハレとケ(非日常と日常)」の消費構造があります。記念日や会食に使うグランメゾンだけでなく、普段着で肩肘張らずに高品質な料理を楽しめる「日常の止まり木」を、地域住民は切望していました。
まさやが提供したのは、職人が備長炭で一本一本丁寧に焼き上げる本格的な串打ちの技と、誰もが納得する良心的な価格設定です。チェーンオペレーションの合理性を保ちながら、個人店のような温かみとライブ感のあるオープンキッチンを採用したことで、成城マダムから学生、シニア世代までを包摂する稀有なコミュニティハブとして機能しています。