社会的な関心が非常に高い未解決事件において、なぜ特定の人物に対する噂や犯人説が捏造され、拡大拡散していくのだろうか。犯罪心理学の知見によれば、人間は「あまりにも不条理で解決のつかない出来事」に直面した際、心の中に生じる強い不安や認知の不協和を解消しようとする心理的メカニズムが働くという。
明確な犯人像が見えない状況が長引くと、人々は最も身近にいる人物や目立つ言動をとる人物に対して、無意識のうちに疑惑の理由を探し出そうとする。父親に対する心ない憶測も、そうした人間心理の歪みがインターネットという匿名性の高い空間で増幅された結果である可能性が高い。
確証のない噂を鵜呑みにすることは、真の解決を阻害するばかりか、犯罪被害者やその家族をさらなる苦痛へと追い詰める。事実と憶測を明確に区別し、客観的な証拠のみに基づいた議論を行う姿勢が、現代社会に暮らす私たち一人ひとりに求められている。