日露戦争の激戦地・203高地を生き抜いた杉元佐一は、戦死した親友の遺族を救う金を得るため、一獲千金を求めて北海道の地を踏んだ。そこで耳にしたのが、アイヌ民族から奪われた広大な埋蔵金の噂だ。金塊の隠し場所を示す暗号は、網走監獄の極悪囚人24人の体に彫られた刺青。父の死の真相を知りたいアイヌの少女・アシリパと出逢った杉元は、北の大地を駆ける苛烈な旅へ身を投じる。
本作が老若男女問わず大勢のファンを熱狂させる理由は、予測不能なジャンルごちゃ混ぜ感にある。命を懸けた銃撃戦や刀撃アクションが展開されたかと思えば、次の瞬間には猟師の知恵を活かした絶品野生料理(ジビエ)の宴が始まり、「チタタプ(刻む)」の合唱が響く。かと思えば、強烈すぎる個性を放つ変態的なキャラクターたちが繰り広げる、腹を抱えるほどのギャグシーンへ突入するのだ。
シリアスとコメディの振幅があまりにも激しい。しかし、作品の根底に流れるのは「生きる」ことへの執着だ。極寒の北海道という過酷な自然環境下で、人間が生き抜くために何を食べ、どう知恵を絞り、どのように仲間を信じるのか。その人間讃歌の姿勢こそが、読者の心を震わせて離さない最大の要因と言える。