「世界一長生きした人たちは、さぞ徹底した食事制限や節制を行っていたのだろう」と考える人は多い。だが、記録保持者たちの素顔はその予想を痛快に裏切る。歴代最長寿のジャンヌ・カルマンの好物は、週に約1キログラムものチョコレート、上質なポートワイン、そしてたっぷりのオリーブオイルだった。さらに彼女は117歳まで喫煙を嗜み、何よりユーモアとウィットに富んだ会話を愛していたという。
一方、男性記録保持者の木村次郎右衛門は「腹八分目」を厳格な信条とし、地元の旬の野菜や魚を好んで少量ずつ口にした。田中カ子は炭酸飲料とチョコレートをこよなく愛し、施設内では計算問題やオセロゲームで常に頭脳を研ぎ澄ましていた。彼らに共通していたのは、ストイックな健康法の盲信ではなく、日々のささやかな喜びを能動的に楽しむ旺盛な知的好奇心と、ストレスを自然体で受け流す強靭なメンタリティだった。