なぜ『シャボン玉』は、公開から歳月が流れた今もなお多くの映画ファンに検索され続けているのでしょうか。その最大の理由は、主演の林遣都が見せる「狂気から救済への変化」と、2019年に世を去った名女優・市原悦子が演じる老婆・スマの圧倒的な包容力にあります。
親の愛情を知らずに育ち、通り魔傷害事件を起こして逃亡する主人公・伊豆見。彼が偶然行き着いた宮崎県の椎葉村で、怪我をしたスマを助けたことから奇妙な共同生活が始まります。村の人々の素朴な優しさと、スマの無償の愛に触れることで、頑なだった伊豆見の心が少しずつ溶けていくプロセスは、観る者すべての胸を打ちます。現代社会が失いかけている「人と人との泥臭い繋がり」が、美しい映像美とともに描かれています。