当時の芸能界において、トップアイドル同士の交際がいかに困難であったかは想像に難くない。松浦亜弥が所属するアップフロントプロモーション、そして橘慶太を擁するライジングプロダクション。共に業界を牽引する大手芸能事務所の看板タレント同士という立場は、軽率な行動を一切許さない厳格な環境を生み出していた。
熱愛報道が世間を騒がせた時期もあったが、二人は決して浮ついた態度を見せることはなかった。派手な夜の街に出歩くことはなく、逢瀬のほとんどは自宅での静かな時間。手料理を囲み、互いのお気に入りの楽曲を聴き、表現者としての葛藤を打ち明け合う。外側の喧騒から完全に遮断されたパーソナルな空間で、12年という膨大な時間をかけて信頼という名の根を深く張っていった。