「串打ち三年、裂き八年、焼きは一生」――老舗の職人たちが積み上げてきた美学に、人工養殖魚はどう評価されるのか。都内のある老舗鰻重店の店主は、初めて完全養殖ものを試食した際の衝撃を「想像を遥かに超えていた」と振り返る。
かつての人工養殖魚にありがちだった身の固さや独特の臭みは消え、天然物に近い適度な脂乗りと豊かな旨味が実現されていた。一方で、職人からは「餌の質によって脂の溶け出す温度が変わるため、焼きの火加減には新たな熟練が求められる」との指摘も上がる。技術の進化は、伝統芸能ともいえる料理人の技法にさえ新たな進化を促している。