彼女の死因を語る上で欠かせないのが、その卓越した歌唱力に宿っていた特異な情念である。1969年のデビュー曲『新宿の女』はいきなり大ヒットを記録し、続く『圭子の夢は夜ひらく』でその人気は社会現象となった。オリコンアルバムチャートで42週連続1位という驚異の記録は、今なお破られていない伝説である。
従来の演歌・歌謡曲の枠組みを根底から覆し、夜の街の哀愁や人間の生々しい情念を吐き出すように歌った藤圭子。彼女の表現力は、自身の内側に潜む哀しみや葛藤をそのまま削り出した刃物のようだった。その圧倒的なリアリズムこそが、聴く者の心を鷲掴みにした最大の理由だった。