結論から言えば、冠婚葬祭における「祭」とは、神社で神輿を担いだり屋台が並んだりするいわゆる「夏祭り」や「フェスティバル」ではありません。正解は、「祖先の霊を祀(まつ)る祭祀(さいし)や、季節の節目を祝う年中行事」です。
仏教行事としての法事・法要、春と秋のお彼岸、新盆・旧盆のお盆、さらにはお正月や五節句といった季節の移り変わりを神仏や先祖に感謝する儀式全般が、この「祭」に分類されます。亡くなった直後に行う一度きりの儀礼が「葬」であるのに対し、その後も定期的に故人や先祖に祈りを捧げ、家族の健康や繁栄を祈念し続ける行為全般が「祭」の本質です。
普段私たちは「お祭り騒ぎ」という言葉から賑やかなイベントを連想しがちですが、「祭る(まつる)」という日本語の語源は「奉る(たてまつる)」や「侍る(はべる)」に通じ、目に見えない尊い存在に仕え、感謝を捧げる静粛な祈りを意味しています。