法的トラブルは長期にわたる裁判闘争へと発展した。信三郎側は第2の遺言書の真正性を疑い、遺言書無効確認訴訟を起こして真っ向から対立した。一審および二審の判決では形式的な要件を満たしているとして長男側が勝利を収め、信三郎は一時的に社長の座を追われる事態に陥った。職人たちも一斉に辞職し、信三郎と共に新たなブランドである株式会社一澤信三郎帆布を立ち上げるという未曾有の事態へと拡大した。
しかし、ドラマは最終局面で劇的な逆転劇を見せる。2009年、最高裁判所は第2の遺言書について真実性に重大な疑義があるとの判断を下し、信三郎側の逆転全面勝訴が確定した。長男側が主張した遺言書は無効と判定され、名実ともに信三郎が正統な後継者として認められた瞬間であった。