誰かが命を落とした部屋。そのドアを開け、荷物を運び入れ、布団を敷いて眠る。松原タニシが2012年に始めたこの特異な生活は、当初テレビ番組の企画に過ぎなかった。だが、彼がそこで目撃したものは、安っぽい怪談話で片付けられるような代物ではなかった。
定点カメラに映り込む謎のオーブ、突如として作動する家電、深夜に鳴り響くインターホン、そして浴室に残る消えないシミ。彼は恐怖に怯えるだけでなく、現象の規則性を洗い出し、淡々とメモを取り続けた。日常と非日常の境界線が溶け出す生活空間で、彼は「幽霊がいるか否か」ではなく「人がそこで生き、死んでいった痕跡」と対峙し続けている。