レコードが大ヒットを記録する一方で、避けて通れなかったのが公共放送における「商標問題」です。当時、NHKは放送法第83条(広告放送の禁止)を厳格に適用しており、特定の企業名や商品名、商標を電波に乗せることを固く禁じていました。
そのため、NHKの看板音楽番組『レッツゴーヤング』などに出演する際、番組側は歌詞の改変を要請。サビの「真っ赤なポルシェ」は「真っ赤なクルマ」へと差し替えられて歌唱されることになりました。
そして迎えた1978年大晦日の『第29回NHK紅白歌合戦』。紅組のトリ前という最高潮のステージで、山口百恵さんがどちらの歌詞を歌うのかに日本中の注目が集まりました。本番で百恵さんは、落ち着き払ったプロフェッショナルな佇まいで「真っ赤なクルマ」と歌唱。一切の動揺を見せることなく完璧なパフォーマンスを披露し、視聴者に強い印象を刻みつけました。
なお、後年になるとNHKの広告規制に対する解釈も柔軟になり、ポップカルチャーの歴史的文脈が尊重されるようになったことで、現在ではオリジナルの「ポルシェ」のまま放送されるケースが一般的となっています。