世界史におけるパンデミックの系譜を振り返ると、アントニヌスの疫病は6世紀の「ユスティニアヌスのペスト」や14世紀の「黒死病(ペスト)」と並び、文明の勢力図を不可逆的に塗り替えた重大な転換点でした。
高度に発達したインフラ、活発な広域物流、都市への人口集中という「文明の繁栄要素」そのものが、ひとたび未知の感染症が侵入した際には致命的な拡散装置へと反転してしまう――。1800年以上前に起きたこの悲劇は、グローバル化が進んだ社会システムがいかに生物学的リスクに対して脆弱であるかを如実に物語っています。