濃硫酸の滴が漂う金星の雲で、生命はいかに生き延びられるのか。アストロバイオロジーの領域では、この過酷極まりない環境下での生存メカニズムについて革新的な理論が次々と提案されている。硫酸滴の内部に小さな保護膜を形成し、自身の周囲をわずかに中和しながら浮遊生存する微生物のモデルはその一例だ。
サラ・シーガー教授らの研究チームは、微生物が雲の上下運動に乗りながら繁殖と休眠のサイクルを繰り返す「大気中生命サイクル説」を提唱している。地球上でも高度数万メートルの成層圏で細菌が生き残ることが確認されており、極限環境生物の適応能力は人類の想像をはるかに超えている。金星の大気は、命が芽吹くための「第二の地球」になり得るのだ。