ドラッグストアで手に入る千円前後の市販品と、サロンで販売される数千円のプロユース製品。価格差の裏には、一体何が存在するのか。「手触りの向上」という一点だけで言えば、市販品も極めて優秀だ。高分子シリコーンやオイル成分が髪表面を瞬時にコーティングし、濡れたような滑らかさを演出する。しかし、髪を洗えばそのコーティングは剥がれ落ち、元の傷んだ毛皮質が顔を覗かせる。
現場に立つトップ美容師たちが指摘するのは、毛髪内部の「結合」と「水分保持構造」へのアプローチの違いだ。深刻なケミカルダメージや加齢によるうねりは、毛髪内部のCMC(細胞膜複合体)の流出とケラチンタンパク質の断裂によって引き起こされる。サロン専売品は、分子量の異なるペプチドやアミノ酸複合体をナノレベルで浸透させ、髪の芯を補強する処方が組まれている。表面を滑らかにするだけの対症療法か、髪の構造そのものを再構築する根本治療か。この違いこそが、数週間後に髪質が根本から変わったと実感できるかどうかの分かれ道となる。