上質な革財布を語る上で外せないのが、馬革が持つ圧倒的な耐久性と独特の質感です。一般的な牛革財布の寿命が5〜10年程度とされるなか、適切に仕立てられた馬革長財布が一生モノの理由として挙げられるのは、革の内部構造そのものにあります。
馬革は大きく分けると、馬の臀部(尻部分)の緻密な繊維層を削り出して作られるコードバンと、胴体部分などのしなやかなホースハイド(ホースレザー)の2種類に分類されます。特にコードバンは、1頭の農耕馬からわずかしか採取できない希少部位であり、コラーゲン繊維がピンと直立した状態で緻密に整列しています。この組織構造により、長期間の使用でも型崩れが起きにくく、屈曲の多い二つ折り財布や長財布の折り曲げ部分でもひび割れしにくい特性を持っています。
また、使い始めは落ち着いたマットな表情や均一な光沢を見せる革が、手の油分や摩擦によって徐々に透明感のある深い艶へと変化していく過程は、他の皮革では決して味わえない醍醐味です。世代を超えて受け継がれるほどの堅牢性と美しさを両立している点が、一生モノと呼ばれる最大の根拠となっています。