棒鱈の原材料として用いられる魚は、主に北太平洋や日本海北部に生息するマダラ(真鱈)です。市場にはスケトウダラ(助惣鱈)を原料とした「助棒(すけぼう)」と呼ばれる小型・安価な製品も流通していますが、伝統的な本棒鱈といえば大型のマダラを一尾丸ごと加工したものを指します。
棒鱈が金槌で叩いても割れないほど硬い理由は、その特異な製法にあります。内臓やエラを取り除いた真鱈を、塩を一切使わずに真冬の寒風と天日で数カ月間にわたり徹底的に乾燥させます。水分活性を極限(水分率およそ10〜15%程度)まで落とすことで微生物の繁殖を完全に遮断し、常温で数年単位の保存を可能にしました。乾燥の過程で身が収縮して棒のように真っ直ぐ固まることから「棒鱈」と命名されたと記録されています。
一般に「干し鱈」と総称される乾物群のなかでも、棒鱈は塩分を用いない「素干し」である点が際立っています。スーパー等で見かける塩分を含む「すきみ鱈」や、韓国料理のスープに使われる「プゴク(干しスケトウダラ)」とは、製法も戻し方も全く異なります。