カラオケ採点や歌唱難易度において、本作は文句なしの「Sランク(最難関クラス)」に位置付けられます。単に音が高い・低いという物理的なレンジだけでなく、黒人音楽(R&B・ソウル)のエッセンスが随所に散りばめられているためです。
難易度を引き上げている主な要因は以下の3点に集約されます。
① 16ビートのグルーヴ感とシンコペーション
バラードでありながら、バックトラックはしっかりとした16分音符のグルーヴを持っています。メロディの入りが小節のアタマではなく半拍・1拍食い込む(シンコペーション)箇所が多いため、平坦に歌うと一気に演歌調や歌謡曲調になり、曲の洗練された雰囲気が損なわれます。
② 地声と裏声(ミックスボイス・ファルセット)の高速スイッチ
サビでは、芯のあるミドルボイスから繊細なファルセットへ一瞬で切り替えるフレーズが連続します。発声の切り替えポイント(換声点)で声がひっくり返ったり、音量がガクッと落ちてしまったりするトラブルが起きやすい構造です。
③ 息の量をコントロールするウィスパーボイス
Aメロ・Bメロは音量が小さく、語りかけるようなウィスパー(息漏れ声)で構成されています。息を多く使いながら音程をピタリと安定させるのは、プロでも高度な横隔膜の支えを要するテクニックです。