竹生島宝厳寺を訪れる者を圧倒するのが、戦国覇者・豊臣秀吉の息吹を今に伝える貴重な建築群です。なかでも必見の3大スポットについて解説します。
第一の見どころは、秀吉が建てた大坂城の唯一の遺構とされる国宝「唐門(からもん)」です。慶長7年(1602年)、豊臣秀頼の命により京都東山の豊国廟極楽門が移築されたもので、近年の大規模な保存修理事業によって、建立当時の絢爛豪華な極彩色彫刻や黒漆塗りの威容、繊細な飾り金具が見事に甦りました。極楽橋の遺構としての風格は、桃山時代の建築技術の頂点を示しています。
第二の遺構は、唐門に隣接する観音堂から都久夫須麻神社の本殿へと続く重要文化財「舟廊下(ふなろうか)」です。この渡り廊下は、豊臣秀吉の朝鮮出兵における御座船「日本丸」の船骨(船底の木材)を再利用して架けられたと伝えられています。天井を見上げると、船底の構造をそのまま転用した独特の木組み(船底天井)が連続しており、戦国末期の武将たちのドラマを生々しく体感できる空間です。
第三の建造物は、境内の高台にそびえる「三重塔」です。江戸時代初期に焼失して以来、長らく失われていましたが、古図面や現存資料に基づき2000年に約350年ぶりの復元を果たしました。初層内部には大日如来が祀られ、総檜造りの端正な佇まいが緑深い島の自然と美しいコントラストを描いています。