2026年7月、フジテレビジョンが木曜劇場枠で放映を開始した『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』は、日本の連続ドラマ史上初となる「薬剤師」を単独主役に据えた画期的な医療ドラマだった。原作は『月刊コミックゼノン』で連載された荒井ママレによる同名コミック。タイトルの「アンサング(unsung)」とは「称賛されない、日の目を見ない」という意味を持つ。
医師のように直接メスを握るわけでもなく、看護師のように常にベッドサイドに寄り添うわけでもない。それでも、医師が下した診断と処方に最後の砦として目を光らせ、患者の命を薬害から守る。主人公の葵みどりは、キャリア8年目の萬津総合病院薬剤部で働く病院薬剤師だ。「一人でも多くの患者を救いたい」という純粋な思いが強すぎるあまり、時に医師の領域に踏み込み、周囲と衝突を繰り返しながらも真摯に患者と向き合い続ける。
これまで数々のヒット作で華やかなヒロインを演じてきた石原さとみが、髪を無造作なお団子にまとめ、機能性重視のスニーカーで病棟を駆け抜ける姿は、従来の医療ドラマが描いてきたスマートな主人公像を痛快に裏切ってみせた。