この料理のルーツを探ると、18世紀以前の山岳地帯に暮らす羊飼いたちの食事に行き着く。元々はトマトが入っていない「グリッチャ(Gricia)」と呼ばれる料理が原型だった。新大陸からトマトが持ち込まれたことで進化を遂げ、ラツィオ料理を代表する現在の形へと結実した背景がある。
発祥地であるアマトリチェ市は、伝統の味覚と製法を厳格に保護している。イタリア料理協会や地元の自治体は、料理のアイデンティティを守るために公式な標準レシピを制定した。2016年の大地震で街が甚大な被害を受けた際も、この料理は地域復興のシンボルとして世界中で支援の輪を広げるきっかけとなった。