恵比寿発祥の定食屋「土鍋炊きご飯なかよし」は一体なぜ人気なのか。店頭に立ち、看板メニューを口にした瞬間にその理由は明快になります。ネット上の口コミや現場の定点観測から導き出された決定打は、大きく分けて次の3点に集約されます。
第1の強みは、屋号にも冠されている「土鍋炊きご飯の圧倒的な炊き上がりと、おかわり自由の太っ腹な設計」です。一般的な電気釜では引き出せない強い熱対流と遠赤外線効果により、米粒の表面にしっかりとしたハリが残り、噛みしめると奥からじんわりとした甘みが広がります。厨房では専用の土鍋を用い、客足の波を見極めながら少量ずつ常に炊きたてを準備。茶碗が空けば「おかわりいかがですか?」と気風よく声をかけてくれるホスピタリティが、胃袋を掴まれる最大の要因となっています。
第2の魅力は、「徹底した無化学調味料と手作り調理」へのこだわりです。運営を手がける株式会社四季企画(四季の台所)の創業理念には、「化学調味料は使っていません」「素直さと笑顔を忘れません」「どなたにもレシピを公開しています」という実直な誓いが掲げられています。濃縮調味料や出来合いの惣菜に頼る店が増えるなか、昆布や鰹節から丁寧に引いた出汁をベースにし、旬の素材を活かした味付けは、毎日食べても舌が疲れない穏やかな滋味に満ちています。
第3に、「通し営業による夜定食の存在感」が挙げられます。恵比寿や渋谷といった都心では、夜になるとお酒を飲むための居酒屋や高単価なビストロばかりが目立ち、「お酒は飲まずに、しっかり美味しい白米と温かいおかずで夕食を済ませたい」という単身者やビジネスパーソンの需要が取り残されがちでした。なかよしは昼夜を問わず同じ定食メニューを提供し、遅い時間の夕飯でも1,000円台前半で温かな食卓を提供してくれる、まさに都会のオアシスとしての役割を果たしています。