萬田診療所に対する世間の評判は、単なる名医への称賛にとどまらず、患者家族の人生観そのものを変えたという深い感謝の声に満ちています。NHKをはじめとするドキュメンタリー番組の特集やテレビ出演によってその存在が広く知れ渡ると、群馬県内のみならず全国から相談が殺到しました。
遺族の手記や地域コミュニティでの証言を調査すると、特に多く挙げられるのは「医師やスタッフが家族の不安を丸ごと包み込んでくれた」というメンタル面での安心感です。ある遺族は、「病院では『あと何週間の命です』と冷たく宣告され途方に暮れていたが、萬田先生は『家で何をしたい?』と笑顔で聞いてくれた。最期の1ヶ月間、自宅で一緒にビールを舐め、冗談を言い合って見送ることができた」と振り返ります。
一方で、現場のシビアな現実を指摘する声もゼロではありません。「24時間いつでも駆けつけてくれるとはいえ、日常的に患者のそばにいるのは家族。容態が変化するたびに生じる精神的重圧は決して軽くなかった」「病院のように看護師が常に詰めているわけではないため、家族側にも腹を括る覚悟が求められる」という実情です。これは萬田診療所の欠点というよりは、在宅医療という仕組みそのものが抱える本質的な課題と言えます。