『鬼滅の刃』ファンの間で常に熱狂をもって語られるトピックの一つが、珠世役の坂本真綾と、蛇柱・伊黒小芭内役の鈴村健一による「リアル夫婦共演」です。二人は2011年に結婚を発表し、声優界屈指のおしどり夫婦として知られていますが、同じ大ヒット作でそれぞれ重要なポジションを担うケースは業界内でも極めて稀です。
一部のネットコミュニティでは「夫婦枠でのオファーだったのではないか」という憶測も飛び交いましたが、アニメーション制作スタジオ・ufotableの徹底した配役選定プロセスを検証すると、その見方は完全に的外れであることが分かります。本作のキャスティングは、役柄が持つ本質的な声質、演技の説得力、そして原作者や音響制作チームの合議によって極めて厳格にオーディションおよび選考が行われています。
伊黒小芭内は冷徹さと内に秘めた純愛を抱える複雑なキャラクターであり、鈴村健一の持つ独特の乾いたトーンと情熱の同居が不可欠でした。一方の珠世は、400年の苦悩と気品を表現できる類稀な表現力を持つ坂本真綾以外に選択肢がなかったというのが業界関係者の一致した見解です。劇中において二人の直接的な会話シーンは存在しないものの、同じ「無惨打倒」という悲願に向けて異なるベクトルから命を燃やす二人の名演は、奇跡的なキャスティングの妙として語り継がれています。