作者である古舘春一の手腕が冴え渡るポイントは、月島を単なる「後から熱くなる典型的なツンデレキャラ」にとどめなかった点にある。彼が抱いていた「努力しても一番になれなければ傷つくだけ」というトラウマは、多くの少年漫画ファンにとってもリアルで共感しやすい等身大の葛藤だ。
この苦悩を乗り越えるプロセスにおいて、古舘氏は安易な精神論に頼らず、技術と論理の積み重ねによる自己更新を描き切った。バレーボールという集団競技における「個の役割」を提示し続けた月島の姿には、過剰な情熱を押し付けない現代的なリアリズムと、少年漫画の王道たる熱量が見事に同居している。