『貴方の恋人になりたいのです』は、阿部真央が地元・大分での高校在学中、わずか16歳から17歳の頃に書き上げた初期の代表作です。本人が過去の音楽特番インタビューや公式ライナーノーツで明かしている通り、この楽曲は架空の物語ではなく、「当時実際に片思いしていた意中の相手」への切実な心情をそのまま投影したノンフィクションとして制作されました。
デビューアルバム『ふりぃ』で鮮烈なロックナンバーを世に放った彼女が、2ndシングルとして選んだのは、極めて私小説的でアコースティックなバラードでした。後に収録された2ndアルバム『ポっぷ』や歴代ベストアルバムでも中核を担う本作について、当時の制作関係者は「背伸びをしない等身大の女子高生の視線と、誰にも言えない痛切な願いが一切のフィルターを通さずにメロディへ昇華されている」と証言しています。
夏の夜の湿り気や、花火大会の帰り道、相手の些細なしぐさに一喜一憂する感情の機微は、計算されたフィクションでは決して生み出せない、10代特有の純度と焦燥感に満ち溢れています。