童磨というキャラクターの真髄は、「感情の不在」にある。他者の痛みを理解せず、愛や悲しみすらも形だけ模倣する男。一般的な悪役のように叫びや怒りで威圧するのではなく、優しげなトーンで残酷な言葉を吐く。この極めて難解な表現を成立させているのが、宮野真守の類稀なる演技力だ。
声優業界の第一線で長年活躍してきた彼は、甘い二枚目から狂気的な悪役まで幅広い役柄をこなしてきた。しかし、童磨で見せる演技はこれまでのキャリアとも一線を画す。声のトーンをわずかに揺らし、親しみやすさと背筋が凍るような冷酷さを同居させる技法。視聴者が抱く「美しくも恐ろしい」という違和感こそが、彼が提示した解答なのだ。