ぼんじりのジューシーな旨味を最大限に引き出すためには、職人の技術が欠かせない。その核心となるのが「油壺(あぶらつぼ)」と呼ばれる油脂分泌腺の丁寧な除去作業だ。この油壺を残したまま調理すると、独特のくさみやエグみが出てしまう。熟練の職人は包丁の刃先を巧みに使い、皮と肉の隙間にある小さな黄色い腺だけを寸分の狂いもなく取り除いていく。
下処理を終えたぼんじりを至高の逸品へと昇華させるのが、炭火焼の技術だ。火力が強すぎると表面だけが焦げて内部の脂が冷たいまま残り、弱すぎると脂が抜け落ちて出がらしになってしまう。プロは「遠火の強火」を基本とし、落ちる脂によって立ち上る煙で肉を燻しながら炭香を纏わせる。
家庭のフライパンで香ばしく焼き上げる極意も存在する。テフロン加工のフライパンには油を引かず、ぼんじりの皮目から弱火でじっくりと加熱する。滲み出てきた自らの脂をキッチンペーパーでこまめに拭き取ることで、表面は皮パリパリ、中は肉汁が溢れ出す極上のジューシーさに仕上がる。仕上げに粗塩をひと振りするか、甘辛い醤油ダレを煮絡めれば、居酒屋の味覚がそのまま再現できる。