北朝鮮の統治体制を理解する上で不可欠な概念が、初代指導者・金日成(キム・イルソン)主席から直系にのみ受け継がれるとされる「白頭の血統」です。この血統神話が、約80年にわたる独裁支配を正当化する絶対的な根拠となっています。
金家の家系図は、側室や異母兄弟の存在が複雑に絡み合っています。第2代の金正日氏には複数の妻やパートナーがおり、正哲(ジョンチョル)氏、正恩氏、与正氏の母である高容姫(コ・ヨンヒ)氏の出自(在日朝鮮人)を巡る問題など、体制が公式には伏せてきた歴史も少なくありません。さらに、2017年にマレーシアで暗殺された異母兄・金正男(ジョンナム)氏の存在は、血統の純血主義を守るための冷徹な権力闘争の凄まじさを世界に知らしめました。
第3代の金正恩氏と李雪主(リ・ソルジュ)夫人の間に生まれたとされる子供たちのうち、公の場に姿を現しているのはジュエ氏のみです。家系図における正統な直系卑属を国民に強く印象づけることで、第4代への権力継承をスムーズに進める狙いが明確に読み取れます。