韓国第2の都市・釜山(プサン)を訪れたら誰もが口にするソウルフード「テジクッパ」。じっくり煮込まれた豚骨スープに柔らかい豚肉がたっぷり入り、立ち上る香ばしい湯気とともに熱々をかきこむそのスタイルは、地元民のみならず世界中の韓国グルメファンを虜にしています。
日本国内でも韓国カルチャーや本場志向の食トレンドが定着する中、「名前は聞くけれど、一般的なクッパやソルロンタンと何が違うのか」「どうやって食べるのが正解なのか」と疑問を持つ人が増えています。歴史的背景からスープの秘密、自分好みに仕上げる調味料の黄金比、さらには東京・新大久保で楽しめる名店まで、テジクッパのすべてを解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】- 要点1:テジクッパは韓国・釜山発祥の郷土料理であり、牛骨ベースのソルロンタンとは異なり「豚骨・豚肉」を煮出した深いコクとあっさりした後味が特徴。
- 要点2:最初は薄味で提供され、卓上の「アミの塩辛」や辛味ダレ「タテギ」、ニラなどを自分好みに投入して味を完成させるのが本場の流儀。
- 要点3:ビタミンB1やコラーゲンが豊富で滋養強壮にも優れており、新大久保をはじめとする都内でも本場の味を堪能できる名店が充実している。
【基本】テジクッパとはどんな料理?釜山名物として愛される理由と歴史
韓国語で「テジ(돼지)」は豚、「クッ(국)」はスープ、「パッ(밥)」はご飯を意味します。つまりテジクッパとは、豚の骨や肉、内臓などをじっくりと煮込んだスープにご飯を合わせ、スライスした茹で豚肉(スユク)をたっぷりと乗せたスープご飯料理です。
韓国全土で親しまれている一般的なクッパが牛肉や鶏肉、野菜など多様な素材を用いるのに対し、テジクッパは豚肉を主役に据えている点が最大の個性です。そのルーツは1950年代の朝鮮戦争時代に遡ります。戦火を逃れて南部の港町・釜山へ押し寄せた避難民たちが、手に入りやすかった豚の骨や内臓、米軍基地から出た端肉などを大鍋で煮込み、安価で栄養満点な一杯として売り出したのが始まりとされています。
過酷な時代を生き抜く労働者や庶民の命を支えたこの料理は、やがて釜山を象徴する郷土の誇りとなり、現在では釜山市内の「西面(ソミョン)テジクッパ通り」をはじめ、街の至るところに専門店が軒を連ねています。
【比較】ソルロンタンとの決定的な違いは?豚骨スープの味の特徴と魅力
韓国のスープ料理として日本でも知名度が高い「ソルロンタン」と、テジクッパを混同するケースは少なくありません。見た目はどちらも白濁したスープですが、その決定的な違いは「使用する肉の種類」と「発祥地域」にあります。
ソウルを中心に発展したソルロンタンは、牛の骨や肉(牛頭肉、胸肉など)を長時間煮出したスープで、牛肉特有の上品でミルキーな甘みとまろやかな風味が際立ちます。一方、釜山発祥のテジクッパは豚骨と豚肉がベースです。日本の博多ラーメンを思わせる豚骨のしっかりとした旨味がありながらも、余分な脂を丁寧に取り除いて炊き上げるため、決してギトギトせず、驚くほど澄んだコクとスッキリした後味を両立しています。
具材となる豚肉は、脂の乗ったサムギョプサル(豚バラ肉)やしっとりとしたモモ肉が中心で、店によってはスンデ(韓国風豚の血の腸詰め)やテッチャンなどの内臓系を組み合わせたメニューも人気を博しています。