家庭料理の文脈において、唐揚げの衣づくりは二つの流派に分かれて進化を遂げてきた。ひとつは、料理研究家の栗原はるみ氏に代表される、素材の味を優しく包み込む伝統的な和食アプローチだ。『きょうの料理』などで親しまれてきた手法は、醤油や酒で下味をしっかり染み込ませ、仕上げに薄く片栗粉を叩くことで、肉の柔らかさと程よいサク感を生み出す。
一方で、YouTubeをはじめとするSNS上でバズを起こしているのは、新世代の極限クリスピー技だ。炭酸水で衣をといたり、仕上げに氷水をくぐらせて油に投入するサーマルショック技法、あるいはアルコール成分蒸発の気化熱を利用する裏技など、より激しいザクザク感を追求する実験的レシピが溢れている。伝統的な和食の揚げ物としてのしなやかさと、最新トレンドの音を楽しむ食感の相乗効果が、現代の唐揚げ文化を豊かにしている。