なぜ、このような多様な運動障害や自律神経症状が生じるのでしょうか。病態の中核には、中脳の「黒質」と呼ばれる部位にある神経細胞の変性があります。 本来、大脳皮質から出された運動指令は、大脳基底核で細かく調整された上で筋肉へ伝達されます。この調整役を担う最も重要な神経伝達物質が「ドパミン」です。ドパミン減少メカニズム詳細を紐解くと、加齢や何らかのストレスによって黒質の神経細胞が脱落し、ドパミン分泌量が正常時の20〜30%程度まで激減した段階で、抑えきれなくなった運動症状が表面化します。 臨床現場において診断の柱となるのが、以下の「4大運動症状」です。
1. 安静時振戦(手足の震え): 本疾患の象徴的な兆候が、安静時振戦と呼ばれる手の震えの特徴です。コップを持つなど何か動作をしている時ではなく、「椅子に座って膝の上に手を置いている時」や「ぼんやりテレビを見ている時」など、力を抜いている状態で1秒間に4〜6回程度のリズミカルな震えが起こります。親指と人差し指を擦り合わせるような「丸薬丸め運動(ピル・ローリング)」が典型例です。
2. 動作緩慢(無動・寡動): 日常のすべての動作が遅くなり、動きが小さくなります。歩く際に足が前に出にくくなる動作緩慢や小刻み歩行、第一歩目が踏み出せないすくみ足が生じます。また、瞬きの回数が減り、感情の起伏が表に出にくくなる仮面様顔貌(表情の硬さ)や、書く文字が次第に小さくなる「小字症」もこの動作緩慢に含まれます。
3. 筋強剛・筋固縮(筋肉のこわばり): 他人が患者の手首や肘を他動的に曲げ伸ばしした際に、まるで歯車が噛み合うようなカクカクとした抵抗(歯車様固縮)や、鉛の管を曲げるような重い抵抗(鉛管様固縮)を感じる筋肉のこわばり(筋固縮)です。本人は「肩こり」や「五十肩」と勘違いして整形外科に通い続けるケースが少なくありません。
4. 姿勢反射障害(バランスの崩れ): 身体が傾いたときに体勢を立て直す反射が鈍くなり、転倒しやすくなります。この症状は初期よりも病勢が進んだ段階で顕著になりますが、後ろから軽く引っ張られただけで止まれずに倒れてしまうといった危険を伴います。