誰もが判定決着を覚悟し始めたその瞬間、劇的なドラマが訪れた。試合終了のゴングまで残り30秒、互いに血に染まりながら拳を交えていた両者だったが、挑戦者の放った左フックが一閃。王者のアゴを打ち抜き、巨体がそのままキャンバスへ沈み込んだ。
レフェリーが慌てて試合をストップすると同時に、場内は割れんばかりの歓声と悲鳴に包まれた。長期政権を築いていた王者が崩れ落ちる光景は、格闘技の恐ろしさと美しさを同時に突きつける。新王者となった男は、コーナーポストに駆け上がり、叫び、涙を流した。ベルトの価値が再び高まった瞬間だ。