黒川の革新性は、空間の構築手法においても存分に発揮された。その代表例が、独自のシステムファニチャーおよび空間構成概念である「K-SYSTEM」である。高度経済成長期を経て画一化が進んでいた建築デザインの現場において、可変性と美しさを両立させたこのシステムは、都市空間における新しい生活様式を提案した。
「K-SYSTEM」の導入によって、壁や家具は単なる仕切りではなく、人間行動を優しく導くインターフェースへと変貌を遂げた。空間を静的に捉えるのではなく、時とともに変化する動的な相として捉える建築思考。そこには、建築とインテリアを分断せず、連続したひとつの生命体として捉える視点が生きている。