話を聞かない人物と対峙した際、単に「性格が悪い」「冷薄だ」と片付けるのは容易だ。しかし、最新の心理学データが描き出す像は、より複雑で根深い。彼らの行動の陰には、意識的あるいは無意識的に作動する5つの特徴的な心理メカニズムが存在する。
第一に挙げられるのが、「認知過負荷と直感的思考への過剰依存」である。ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンが唱えた「システム1(直感的思考)」と「システム2(論理的思考)」のモデルを当てはめると、彼らは他者の発言を注意深く分析するシステム2の起動を放棄しているケースが多い。脳のリソース消費を嫌い、直感的な思い込みで会話処理を打ち切ってしまうのだ。これは現代特有の認知心理学的な疲弊とも合致する。
第二は、「承認欲求とマウンティング構造」である。個人心理学の創始者アルフレッド・アドラーが指摘した「優越性の追求」の歪んだ形と言えるだろう。自らの劣等感を覆い隠すため、他者の話を聞く姿勢を見せること自体を「屈服」と捉え、会話の主導権を奪うことで無意識に自尊心を保とうとする。
第三の特徴は、「内部対話への過度な没頭」だ。彼らは相手が話している最中、その内容を聞いているのではない。次に自分が何を話すか、どう論破するかという「脳内リハーサル」に忙殺されている。相手の音声データは耳に入っているものの、脳内で意味として処理されていない状態だ。
第四に、「共感能力の非対称性」が挙げられる。デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ソーシャル・ネットワーク』に描かれた極端な天才像のように、高い言語能力や処理能力を持ちながらも、他者の感情的文脈を読み取る共感回路が機能していないタイプだ。ロジックの正誤だけに固執し、対話の情緒的価値を切り捨てる。
第五は、「感情制御の未発達と衝動性」だ。他人の話を聞くには、一定の抑制力と我慢が求められる。衝動性が高い人物は、頭に浮かんだアイデアや感情をその場で放出しなければ気が済まない。抑止が効かず、相手の発言を途中で遮ってしまうのである。