象徴的なモチーフである「tambourine(タンバリン)」を取り上げてみよう。不均一な小さな粒が輪を描くデザインは、一見するとシンプルな規則的パターンに見える。だが、間近で凝視すると粒の一つひとつの形や刺繍の膨らみがわずかに異なる。
コンピューター制御の精密な刺繍機を使いながらも、あえて手描きの原画が持つ「揺らぎ」を残すようプログラミングが組まれている。完璧な均一性を求める工業製品の常識を心地よく裏切り、手仕事の温もりと偶然性を量産の中に宿す。この計算された不均一さこそが、人の心を捉えて離さない。