あまりのリアリティと胸に迫る展開から、「この物語には実話のモデルがいるのではないか?」という疑問を持つ視聴者が後を絶ちません。結論から言えば、特定のモデルとなった実在の夫婦が存在するわけではなく、鉄拳さんが描いた完全なフィクションです。
しかし、なぜこれほどまでに生々しく人々の胸を打つのか。その理由は、鉄拳さん自身が抱いていた「日常への後悔」や「家族への感謝」という普遍的な感情が色濃く反映されているからです。誰もが経験する時間の不可逆性、身近な人が元気なときには気づけないありがたみ、失ってから初めて知る存在の大きさ――。そうした人間誰しもが持つ痛切な思いが、大介とサキの姿に投影されています。
映画化にあたっても、スタッフ陣は徹底して「市井の人々のリアルな息遣い」にこだわりました。誰もが自分の両親やパートナー、あるいは自分自身の未来と重ね合わせてしまうからこそ、映画『振り子』は単なる作り話を超えた圧倒的な説得力を持って観る者に迫るのです。