長崎平和公園を訪れる際、祈念像だけを見て引き返してしまうのは非常にもったいない参拝方法です。平和祈念像が立つ「願いのゾーン」を中心に、周辺一帯は被爆の記憶を立体的に体感できるフィールドミュージアムとして設計されています。
祈念像の正面に位置する「平和の泉」には、見学者を立ち止まらせる石碑が設置されています。そこに刻まれているのは、当時9歳だった少女の手記です。
『のどが乾いてたまりませんでした/水にはあぶらのようなものが一面に浮いていました/どうしても水が欲しくて/とうとうあぶらの浮いた水を飲みました』
水を求めて息絶えていった犠牲者たちの魂を慰めるために作られた円形の噴水越しに平和祈念像を見上げるとき、天を指す右手と平穏を願う左手の意味が、より痛烈なリアリティをもって胸に迫ります。
長崎電気軌道(路面電車)の「平和公園」電停から祈念像までは徒歩約3分。緩やかなエスカレーターが整備されており、バリアフリー化も万全です。祈念像を見学した後は、以下の順路で周辺遺構を巡るルートが推奨されます。
- 平和祈念像・平和の泉(願いのゾーン):高台から祈りの空間を体感。各国から寄贈された平和モニュメントが点在。
- 爆心地公園(祈りのゾーン):平和公園から南へ徒歩約5分。原爆落下中心地碑がひっそりと立ち、地中に残る当時の被爆地層を見学可能。
- 長崎原爆資料館:爆心地公園に隣接。被爆直後で止まった柱時計や熱線で溶けたガラス瓶など、圧倒的な一次資料が展示。
- 浦上天主堂:東へ徒歩約10分。東洋一と謳われながら一瞬で崩壊し、後に再建されたカトリックの聖地。遺壁の一部が公園内にも移設展示。
このように連続した空間として歩くことで、平和祈念像の持つモニュメントとしての深みが何倍にも増して理解できるようになります。