嵐が去った直後、なぜ空はこれほどまでに青く澄み渡り、息苦しいほどの猛烈な暑さが襲ってくるのでしょうか。そこには、台風特有の大気構造と熱力学的なメカニズムが関係しています。
台風の中心付近では強力な上昇気流によって巨大な積乱雲が発達しますが、その外側や台風が通過した背後では、上空から地上へ向けて強い「下降気流」が吹き込みます。この下降気流が雲を急速に蒸発させて消し去るため、チリやホコリが雨で洗い流された澄んだ青空が一気に広がります。
そして、青空と同時に襲いかかる気温急上昇の主因が「フェーン現象」です。台風が日本海側や北方を通過する際、南から湿った空気が日本列島の中央山脈にぶつかります。山を越える過程で水分を雨として落とした空気は、乾いた状態で山肌を駆け下りる際に圧縮され、100メートル下降するごとに約1度という急激なペースで温度を上げます。
さらに、台風自身が南洋から運んできた莫大な暖湿気塊が地上付近に取り残されているため、強い日差しが照りつけることで地表温度は跳ね上がります。前日までの暴風雨で気温が20度台前半に下がっていた地域でも、通過後わずか数時間で35度を超える猛暑日へ達するケースが多発しています。この急激な寒暖差は人体の体温調節機能を狂わせ、屋内外を問わず重篤な熱中症を発症させる決定的な要因となります。