一般消費者の間で長年語られる代表的な疑問が、「文具大手の三菱鉛筆は三菱グループなのか?」という点です。結論から言えば、三菱鉛筆は三菱グループとは歴史的・資本的・組織的に一切関係がありません。
両社が同じ「スリーダイヤ(赤色の3つのひし形)」の商標を使用していることから同一グループと誤解されがちですが、これには歴史的な経緯が存在します。
三菱鉛筆の前身である「眞崎市六鉛筆製造所」が逓信省(現在の日本郵政や総務省の前身)への納入記念としてスリーダイヤマークを商標登録したのは1901年(明治34年)です。一方、三菱財閥が三菱マークを商標登録したのは1914年(大正3年)であり、商標登録の時系列としては三菱鉛筆のほうが13年も先でした。
戦後の財閥解体時、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は財閥系企業による「三菱」の商号およびスリーダイヤの使用を一時禁止しましたが、三菱鉛筆に対しては「財閥とは無関係の純粋な先発民間ブランドである」として使用継続を認めました。その後、三菱グループ側も三菱鉛筆の商標権を尊重し、今日に至るまで平和的に共存しています。
なお、キリンホールディングスやニコン、AGCのように「三菱」の名を冠していなくても正統な金曜会メンバーである企業が存在する一方で、三菱鉛筆のように名前とマークが同一でも無関係な企業がある点は、企業研究における重要な留意点です。