創業から150年余りの歴史を刻む熊本の老舗蔵元「株式会社フンドーダイ」。2019年の創業150周年を機に発表された「透明醤油」は、それまでの日本の食卓の常識を覆すイノベーションとして業界に大きな衝撃を与えました。
伝統的な醤油蔵がなぜ、リスクを冒してまで「透明化」に踏み切ったのか。公式発表や開発当時のインタビュー資料によると、着想の原点は「現代の生活様式への適応」と「和食文化のグローバル展開」にありました。小さな子どもが食事中に服を汚してしまったり、真っ白なシャツを着て外食する際に醤油の飛び散りを恐れたりする消費者の悩みに着目。「こぼしても目立たない醤油があれば、家族の食卓がもっとストレスフリーになる」という生活者目線の発想がスタートラインでした。
さらに、フレンチやイタリアンといった西洋料理において、醤油の「黒さ」が素材の鮮やかな色彩を覆い隠してしまうという調理上のジレンマを解消する狙いもありました。素材本来のビジュアルを最大限に引き立てながら、和の基本たる「醤油の旨味」を付与できる万能調味料として、透明醤油は誕生したのです。