ふたりの出会いは、1982年公開の国民的映画『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』(第30作)での共演に遡ります。沢田研二が演じたのは内気な青年・螢子(けいこ)の相手役である良介、そしてマドンナの螢子役を演じたのが田中裕子でした。劇中でぎこちなくも純粋な恋心を交わし合う役柄を演じるなかで、ふたりは互いの感性に強く共鳴し合っていきます。
当時、沢田研二はグループサウンズ「ザ・タイガース」からソロへと駆け上がり、トップアイドル・ロックスターとしての絶大な人気を誇る一方で、本格的な演技の幅を広げていた時期でした。一方の田中裕子は、文学座出身の実力派若手女優として頭角を現し、翌1983年のNHK連続テレビ小説『おしん』で世界的な脚光を浴びる直前の充実期にありました。
翌1983年にも鈴木清順監督の映画『カポネ大いに泣く』で再共演を果たし、ふたりの距離は決定的なものとなりました。沢田研二(1948年生まれ)と田中裕子(1955年生まれ)の年齢差は7歳。表現者として高め合える稀有な存在として、互いにとって代わりの利かない存在になっていったのです。