本作の核となるのが、父・大介と長男・鉄平の激しい確執です。この2大キャラクターの演じ分けこそが、各バージョンの個性を決定づけています。
2007年TBS版で万俵鉄平を演じた木村拓哉は、製鉄に命を懸ける情熱的なリーダー像を見事に体現しました。理不尽な父の策略に翻弄されながらも、前を向いて突き進む姿は多くの視聴者の涙を誘い、悲劇のラストへ向かうカタルシスを極限まで高めました。対する2026年WOWOW版の向井理は、内に秘めたノーブルな気品と、拭い去れない父への苦悩を繊細なグラデーションで表現。原作に近い知的でストイックな鉄平像を構築しました。
一方、父・万俵大介を演じた名優たちの重厚感も見逃せません。TBS版の北大路欣也は、圧倒的な威厳と冷徹な眼光で「絶対的な権力者」としての存在感を放ち、木村拓哉演じる鉄平と凄まじい火花を散らしました。WOWOW版の中井貴一は、銀行の生き残りを賭けて策謀を巡らせる男の孤独や老獪さ、そして内面に潜む狂気を抑制の効いた名演で見事に表現し、高い評価を獲得しました。